籠目透し彫について
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籠目透し彫について

薩摩焼の籠目透かし彫りは全国の陶磁器に類を見ない精巧な技術で、主に香炉に施されております。
籠目透かし彫りとは竹で編んだカゴ等の様な紋様を、剣先などの道具を使い表面を刳り貫いて模様を施す彫刻技法の呼び名です。
現在では、この技術を持ち合わせた陶工は数名と激減して、いずれ絶えるのでは無いかと危惧されており、非常に稀少な技のひとつです。
一般的には彫りを施す陶工を「彫り師」と呼び、彫りの作業だけを専門に制作しておりますが、私はろくろ成形をはじめ、鋳込み、型作り、焼成まで制作の全行程を一人で行っております。
彫りの作業は収縮率を考慮し、粘土が乾かないうちにスピーディ、かつ慎重に進め、作品にもよりますが、いったん彫りはじめると、一日、二日は眠らずに作業を続けることもあります。
当窯元では香炉の他、ランプシェードや花瓶、酒器、茶道具等にもこの技術を応用し制作しております。
この「籠目透かし彫り」の作業工程の一部分ですが、ご紹介いたします。

1. 生地成形
ろくろ成形の他、鋳込み成形や充填(型押し)など。
2. かんな仕上げ
成形後、半乾きの内に削りをします。「かんな」という帯鉄をかぎ状に加工した道具を用いて口の部分や胴それに高台等を削り形および厚みを整えます。
3. あたり付け
籠目模様の割を入れる線引きの事で、大きさや厚みに応じた籠目紋様の穴(4ミリから6ミリ程度)を定規で引きます。

4. 三角針彫刻刀入れ
線を引いて交わった三角図形の部分に三角針で穴を開けていく作業です。この穴の開け具合が重要で、きれいな籠目の線が彫れるかどうかが決まります。

5. 剣先で籠目をカット
右手で剣先(切る道具)を持って六角形に切っていきます。
支え持つ左手が肝心で剣先を入れる角度、送るスピードが決まります。
切る右手より支える左手の役割が大きいです。切り終えたらリズミカルに抜き取っていきます。

剣先を始め、彫る道具は全て手作りです。
6. 接着
「ドベ」と言って粘土をどろどろに溶かしたもので接着します。
それぞれ収縮率の違う部材を接着するのでタイミングが重要です。付けるタイミングが合わないと乾燥や焼成の段階で彫った部分が、収縮率の違いから離れたり、引っ張られて切れたりします。
接着のタイミングは指先の勘に頼らないといけないです。私はこの行程が一番難しいと思います。
7. 乾燥
透かした箇所は早く乾燥するので、片乾きしない様に慎重かつ、ゆっくりと行います。
8. 素焼き
乾燥後、約850度で焼成します。
9. 釉薬掛け
コンプレッサーを使いスプレーガンで霧状にした釉薬を吹き掛けます。
機械が無い時代は口で吹く「霧吹き」で釉薬を掛けていました。
10. 本焼成
当窯元では1240度で焼成しています。
11. 検品
ピンホール、黒点、釉が噴いていないか、割れ、切れ等が無いかを丹念に調べます。
薩摩彫刻陶芸窯元
南楓山へのお問い合わせ
TEL/FAX 0993-23-4688
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