はじめに
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ご挨拶


薩摩焼と云えば金彩鮮やかな色絵を施したものや、重厚な黒色を基調とした陶器を思い浮かべますが、当窯元では稀少となった籠目透かし彫りという彫刻を施した陶器を専門に制作しています。
私は今年で陶歴30年を迎えます。
これを機に遠方や海外の多くの方々へも私の作品をご覧になっていただければとの思いから、ホームページを開設する運びとなりました。
しかし、ホームページでは作品自体を画面越しでしか見ることが出来ず、はたしてそれで伝わるのだろうかという迷いもありました。
私は作品というものは「目で観て」、「手に触れ」「手で持って」、更に「動かしてみて」認識すべきものと考えております。それを一環して貫き通し、今まで広告も出さず、主に他の窯元からの注文を受けてまいりました。
そんな中、一般のお客様もこの白薩摩の生地に入る貫入の美しさに魅せられ、籠目透かし彫りの美しさを求める方々が、多くなり鹿児島県内外よりわざわざ調べてお越しになるお客様もいらっしゃる様になりました。
作品を手にして下さったお客様からは、もっと表に名を挙げて作品を出すべきではと、ありがたいお言葉を頂く様にもなりました。
私はこのホームページが窓口となり、少しでも「薩摩焼伝統技法、籠目透かし彫り」の美しさを知っていただければ幸いに存じます。
2012年2月吉日
薩摩彫刻陶芸 窯元南楓山
上別府 雅楓
窯元南楓山について

窯元南楓山は私の父、晴楓が興した窯元です。
父は敗戦で台湾から引き揚げた後、郷里に馴染めず様々な職を転々とする事を余儀なくされました。
ある時、読書好きの父が(薪をくべながら読書が出来る様な)銭湯のかま焚きの職を探していた処、ある窯元での窯焚きを紹介されました。
これぞ天職とばかりに没頭し、数々の窯元を渡り歩き多くの技術を習得いたしました。中でも絵付けの他、捻り物や浮き彫り等といった彫刻が得意でした。
そんな環境の中、私は幼少の頃から粘土で遊ばせてもらい、陶工になる事は必然と思っていました。高校を卒業すると父や、現在は独立している兄・仁楓から陶芸や窯造りのすべてを教わりました。
父は「人間には器用、不器用なんて無い。とにかく反復練習をする事。そして物事に関心を示し見て感じて考える事が大事」と常々教えていました。また「うぬぼれるな、浮かれるな、しっかり地に足を付けろ」と導きました。籠目透かし彫りの技法については「やがて透かし彫りの技術を持った陶工は少なくなるはずだ、この技法は残さなくてはいけない」との思いから兄や私に覚えさせました。
「くせの付いていない若い内に覚え込まないと駄目だ」との考えから私には、弟子入りしてすぐから教えてくれました。
父が他界した後、制作作業の全行程を私一人で行っております。
先人達が不便な道具の時代に試行錯誤して積み重ねた伝統を礎に、今の私の技術があるわけです。当然それに劣ることの無い作品を作り上げる事が伝統を受け継いだ私の使命と考えております。
私はそういう心がけで日々作陶し続けています。


陶歴・プロフィール
1964年 | 宮崎県 えびの市にて出生 |
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1982年 | 鹿児島県・指宿市立指宿商業高等学校卒業 薩摩焼窯元南楓山 初代 父・上別府 晴楓に師事 |
1984年 | 父・晴楓が病に倒れた為、それを機に雅号(雅楓)を頂き薩摩焼窯元南楓山二代目を襲名 |
1985年 | 一基目の倒煙式ガス窯(自作)を築く |
1988年 | 香炉の球面形胴体の全面に籠目の透かし彫りを施す技法を完成 絶えていた三重蓋の技法を復活 |
1989年 | 四重蓋及び 籠目総透彫二重胴の香炉を完成 東京・上野美術館 にて第42回アンデパンダン展に香炉を出品 |
1991年 | 池袋西武百貨店にて全国伝統的工芸品展に鹿児島県伝統工芸品を代表して籠目透かし彫りの技術実演 愛知県に工房を移築し作陶を始める |
1992年 | 籠目総透かし彫り花瓶を完成 |
1994年 | 大阪三越にて鹿児島県からの依頼で鹿児島県アンテナショップで籠目透かし彫りの技術実演 |
2000年 | 名古屋市のギャラリー・ローラ(路良)にて個展 |
2004年 | 帰鹿後、現地にて3基目の自作ガス窯を築き作陶を始める |
2006年 | 薩摩焼陶業組合(現 薩摩焼協同組合)に加入 |
2007年 | 全国伝統的工芸品フェスタINカゴシマにて高円宮妃久子さま視察の際、 薩摩焼を代表して籠目透かし彫りの技術を披露 |
2008年 | 薩摩焼伝統工芸士に認定 |
2008年 | 鹿児島市 ギャラリー・ビーンズにて薩摩ボタン絵付師・室田志保氏と二人展を開催 |
2008年 | 第32回全国伝統的工芸品公募展にて作品(籠目総透彫水指)が日本経済新聞社社長賞を受賞 |
2008年 | 2008かごしまの新特産品コンクールにて作品(ランプシェード)が鹿児島市長賞を受賞 |
2011年 | 2011かごしまの新特産品コンクールにて作品(皆具)が奨励賞を受賞 |
2012年 | さつま焼gallery「楓」を新設 |
2014年 | 茶道裏千家淡交会 第57回九州地区大会にて籠目透彫水指を使用 |
2014年 | 自力にて工房増設 |
2014年 | 2014かごしまの新特産品コンクールにて作品(籠目透彫帯留)が鹿児島県特産品協会理事長賞を受賞 |
2016年 | The wonder 500にて作品(筒型総透彫香炉)が日本が誇るべき優れた地方産品「ふるさと名物」として認定 |


薩摩彫刻陶芸窯元
南楓山へのお問い合わせ
TEL/FAX 0993-23-4688
薩摩焼、籠目透かし彫りについてのご質問やギャラリーのイベントなど気になることがございましたら、
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